ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
だったら、たとえ家族でいる日が今日で終わりを迎えるとしても、これまでみんなで積み重ねてきたものは、絶対に無意味でも無価値でもないよ。


信じていいんだね。


信じられるものが、ちゃんとあったね……!


「う、うえぇっ……。ゲホ、ゲホッ」


泣きすぎてむせるほど泣いても、まだ熱い涙とよろこびがあふれてくる。


次から次へと流れ出る涙と洟を両手でこすっていたら、ふと、肩の上に温もりを感じて顔を上げた。


雄太があたしの肩を優しく撫でながら「よく頑張ったな。瑞樹」って微笑んでいる。


あたしはすごい音でしゃくり上げながら、ビショビショのクシャクシャ顔で笑い返した。


「あ、ありがと。雄太ぁ……」


雄太のおかげだよ。


もし雄太が今日ここに来てくれなかったら、大げさじゃなくあたしの心は一生救われなかったかもしれない。


本当にあたしを守ってくれたね。支えてくれたね。


ありがとう雄太。本当にありがとう。


「おじさんとおばさんと同じくらい、俺も瑞樹のことを大事に想っています。だから今日のこの日に、ふたりで一歩を踏み出したいんです」


あたしの肩に置く手に力を込めながら、雄太が言った。


「俺と瑞樹が付き合うこと、認めてくれますか?」
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