ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「瑞樹、ごめん」


「え? なにが?」


いきなり深刻な声で謝られてキョトンとした。


だって謝罪される理由なんて、ぜんぜん思い当たらない。


あたしの方こそ、雄太に謝ったり感謝したりしなきゃならないのに。


「田中さんのこと。お前を傷つけてごめんな」


少し伏し目がちに言われて、ああ、そのことかと思った。


それならいいのに。


いや、いいわけでもないけど、事情はもう納得してるから。


「あたし昨日、偶然田中さんと会って話す機会があったの。だから事情は知ってるよ」


「田中さんから電話で聞いたよ。瑞樹にすごく感謝してた。話せてよかったって言ってた」


「あたしもだよ。話せてよかった」


「それと、くれぐれも頭をお大事にってさ。どういう意味だ?」


「な、なんでもない。それは気にしないで大丈夫だから」


慌てて首を横に振りながら笑ってごまかすと、雄太が怪訝そうな顔をした。


そしてすぐにまた、申し訳なさそうな顔になる。


「正直言うと、本当の彼女でもない子とああいうことするのは抵抗があったんだ。引き受けることで、逆に傷つけてしまうんじゃないかと心配だったし」
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