ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
しばらく歩いて公園に着くと、青々とした芝生には自前のテントを設置した家族連れやカップルがいて、みんな思い思いの時間を楽しんでいた。


「休日なのにあんまり人がいないね」


「朝から天気が悪かったからな。晴れてきて人が集まりだしたんだろ」


あたしたちは東屋の中に入って、木製のベンチに並んで腰かけた。


「アスレチックコーナー、相変わらず子どもたちに大人気だな」


「懐かしい。あたしも雄太も、昔はあんな風にハシャいでいたね」


「芝生に広げた敷物の上に、俺らの両親が並んで座って、手を振ってくれてたよな」


この公園は、お父さんとお母さんの寝室に飾っていた、あの思い出の写真の公園でもある。


ふたりが恋人同士になって、初めてキスをした記念の場所。


楽しい記憶はこんなに鮮明に残っていて、でも、もう戻らないんだなあ……。


「寂しいか?」


風に吹かれながら黙って公園内の様子を見ているあたしに、雄太が気遣うように聞いてくる。


本当に雄太って、あたしの気持ちをわかってくれるんだね。


「んー。うん。そうだね」
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