ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
ちょっぴりしんみりしながら、正直にそう答えた。


帰らない日々を思うと、やっぱり切ないし、喪失感があるのはどうしようもない事実だ。


でもちゃんと絆があって、それは決して消えないことも知ったから。


悲しいけれど悲嘆に暮れているわけでもない。


なんていうか、今日の空みたいな気分。


たしかに雲は灰色で重いけれど、その向こうには青い空があって、それを証明するように合間から光が差しているんだ。


「なあ、久しぶりに水源に行かないか?」


「あ、いいね。行こう」


この公園には噴水がある。一般的な噴水とは違って、渓流みたいに幅広な川が流れる形の噴水だ。


広い公園の一角がちょっとした小山のように高くなっていて、その頂上から水が流れ落ちてきている。


その水源を見に行くのが、当時のあたしたちの楽しみだったっけ。


公園の周囲を取り巻くように植えられた木々の間の小路を、ふたりで水の流れに沿うように上へ登って行った。
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