ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
舗装された隙間から、雑草がぴょこぴょこ飛び出している道をしばらく進んで行くと、水源に着いた。


「わー、懐かしい」


「相変わらず地味だな」


雄太の言う通り、水源と言っても特にどうということもない。


地面に設置された、ほんの一メートル四方の小さな四角いコンクリート設備から、水が出ているだけだ。


それでも子どもだったあたしたちにとって、ここはめったに人も来ない、ふたりだけの特別な場所だった。


高校生になった今、改めてこうして見るとますます地味に見える。


「言っちゃなんだけどほんとにショボいね」


「でもこうして見ると、ここも少し変わったな」


雄太が周囲をグルリと見回しながら言った。


ひと気がなくて寂しくて、周りは木々と雑草ばかりなところは変わってないけど。


当時はまだ背丈の低かった木はずいぶんと高くなって、見上げるほど。


風や鳥が種を運んだのか、人が植えた感じとは違う野草が、あちこちで小さな花を咲かせている。
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