ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
緩んだ頬のラインと、細められたきれいな両目と、真っ白な歯が覗く唇が接近する。


目に映るどれもこれもが、あたしが大好きなものばかり。


最高に素敵で、極限にドキドキさせるものばかりで、余裕な態度の雄太がカッコよすぎる。


……ダメだあ。もう限界!


あたしは両手で顔を隠して、その場にヘナヘナとしゃがみ込んでしまった。


すると頭上で雄太が楽しそうに大笑いしてる。


ううぅ、メッチャ笑われてる~。悔しい!


でも好きな人から『キスしたい』って言われて、平気でいられる女の子なんているわけない!


知ってる? 生き物はそれぞれ、一生の間で鼓動を打つ回数が決まってるって説。


今ここでこんなに消費したら、あたし絶対、五年は寿命が縮んでる!


なのに雄太は追及を緩めない。


あたしと向き合うようにしゃがみ込んで、あたしの頭を手のひらでリズミカルにポンポンしながら、しつこく聞いてくる。


「ほらほら、どうなの? 俺とキスしたいの? したくないの? どっちですかー?」


言・わ・せ・る・なー!!
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