ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
ここはあたしたちだけの大切な場所。


今日はあたしたちの特別な日。


だからあたしたちは、この場所からあたしたちだけの道を進んで行けばいい。


そういうこと?


「なによりも俺は瑞樹が好きだから瑞樹にキスしたいんだ。瑞樹は?」


そう言って雄太は、あたしの手を取って立ち上がった。


「まだ瑞樹の口から聞いていない。だから聞かせて。俺が好き?」


まるで王子様みたいに優雅な仕草であたしの手を取る雄太を見て、あの結婚式の日を思い出した。


リングボーイ姿の雄太の幼い表情を、今でもはっきり覚えている。


あの頃に比べるとすごく背が伸びて、顔立ちもずっと大人びて、体もすっかり男らしくなった。


雄太は、たしかに変わった。


でも今あたしの目の前に立つ雄太は、間違いなく、あの日の雄太と同じ存在。


道に迷ったあたしの手を握り、ずっと守って支えてくれる人だ。


そんな雄太をあたしは心の底から想っている。


だからずっと言いたかったこの言葉を、この気持ちを、今こそ正直に告げよう。


「好きだよ。あたしはずっとずっと昔から雄太だけを見つめてきたよ」
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