ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
一応、いろいろ悩んだんだよ。


あたしが雄太の隣にいたら、なんかこう、田中さんにマウント取ってるみたいだよなあ、とか。


絶対に田中さんに気を遣わせちゃいそうだな、とか。


「今日は田中さんの旅立ちの日だからさ。田中さんが一番よろこぶ形で送り出してあげたいなって思ったの」


「ま、見送りに来てたの俺だけじゃなかったしな」


「そうなんだ?」


「クラスメイトたちが来てた。花束やプレゼント渡してたよ」


「そっかあ! 入学して一学期しか過ごしていない状態での引っ越しだけど、いいお友だちがいたんだね!」


きれいなお花やプレゼントを両手に抱えて、涙を流しながらうれしそうにしてる田中さんが目に浮かんで、ジーンとした。


……よかった。寂しさや悲しみだけのお別れじゃ本当につらいもん。


田中さん。どうか元気でね。


田中さんならきっと大丈夫だよ。あたしはそう信じてるよ!
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