ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
振り向くと、指輪を乗せた小さなクッションを持った雄太ちゃんが、ニコニコしながらあたしを見ている。


「瑞樹ちゃん、まるで絵本の中のお姫様みたいだ。すごくかわいいよ!」


そういう雄太ちゃんは、白いシャツの襟元に蝶々みたいなリボンのついた、黒くて立派なお洋服を着てる。


お婿さんとそっくりのその姿は、まるでどこかの国の王子様みたいで、すごくカッコいい。


「……ありがとう。雄太ちゃん」


ママやパパが言ってくれたどの褒め言葉よりも、雄太ちゃんが言ってくれた言葉が、なんだか一番うれしい。


でもちょっとだけ恥ずかしい気もして、照れくさい気持ちをごまかすために、あたしは靴のつま先で地面をトントンした。


モジモジしてるあたしを見て、ちょっぴり緊張ぎみだった花嫁さんも笑顔になる。


「本当に瑞樹ちゃん、かわいいわ。まるで本物の花嫁さんみたいよ」


花嫁さんの横にいるおじさんも、大きくうなずいた。


「そうだな。雄太くんもすごくカッコよくてお婿さんみたいだ。主役のお前たちより、この子たちの方がよっぽよどお似合いだなあ?」


「もう、お父さんたら! でも本当にそうね!」
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