ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
雄太は、そんなあたしを黙って見ている。


言葉はないけど、心配とか気遣いとか、温かいものがいっぱい詰まった視線を感じて心が和んだ。


雄太とは家族ぐるみの付き合いだから、あたしの身に起きた出来事を、自分のことのように案じてくれている。


無理に元気を出そうとしているあたしの気持ちを、本当の意味で一番理解してくれているのも、たぶん雄太だ。


これ以上傷つけられるのを恐れるように、嘘で必死に包んだホントの気持ち。


なにも言わずに見透かしてくれて、ありがとう雄太……。


「ねえ、あたしがもっと頑張れっていれば、別居を阻止できたのかな?」


雄太の優しさに甘えるようにポロリと弱音が出た。


あたしって、なんの力もない、ただの子どもなんだな。


重大な出来事を前にオロオロしてるだけ。息を詰めて成り行きを見守ってるだけ。


もっと両親のためになにかできたんじゃないかな?


あたしが、なんとかしてあげられたんじゃないか?って考えちゃうんだ。


具体的になにを?って聞かれたら、それは自分でもよくわかんないけど。
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