ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
どうにもできない終焉
しばらく横断歩道の前でボーッとしていたあたしは、ようやく我に返った。


気がつけば、いつの間にかもう太陽は沈んでいて、空もだいぶ暗くなっている。


うわ、時間が飛んじゃった! とにかく家に帰ろう。


そう思って家へ急ぐ間も、心は雄太のことでいっぱいで、なんだか現実感がない。


『俺にとってもお前が一番大切な女だけどな。……特別な意味で』


雄太の言葉が耳の奥でリフレインされて、周囲の音なんかまるで聞こえない。


幸せな気持ちが湧き水みたいにどんどんあふれてきて、勝手に顔がニヤけてしまう。


薄暗くて良かったー。ひとりでニヤニヤしながら歩いてたら、変人に思われちゃう。


ほっぺた、雄太にムギュッてされた……。


ああ、どうしよう。もうあたし顔洗えないかも!


こんなこと、きっと他の女の子にはしないよね。あたしだけだよね?


まだ指の感触が残る頬に手を当ててウットリしながら歩く間も、どんどん日暮れて、周囲は薄暗さを増していく。


ライトを点灯させた車の波の横を歩きながら、横道に入って住宅街へ向かった。
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