ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
だって本当は諦めていなかった。


いつか。どうにかして。なんとかもう一度。


そんな風に、家族がまた元通りになる希望を捨てていなかった。


雄太には『両親のことはもう諦めている』って言ったけど、そんなの嘘だよ。


嘘に決まってるじゃん!


だからお願い。お母さんもお父さんも、こんなの嘘だって言ってよ!


それとも……。


「それとも本当は、お互いのことなんか好きじゃなかったの!?」


あたしは強く拳を握ってお母さんを責めた。


心の隅っこの方から、『お母さんを責めてもしかたないよ』って冷静な声が聞こえたけれど、その声に気持ちが強く反発する。


だって責める権利くらいあるじゃん!


好きで結婚したのに、なんで別れるの!?


なんで!? なんでずっと一緒にいられないの!?


「結婚までしたくせに、本当はお父さんのこと好きじゃなかったんでしょ!?」


「本当に好きだったわ。子どもの頃からずっと。だから、ずっと一緒にいられると心から信じていたのよ」


「だったらどうして!?」


「あの日、お母さんとお父さんは幼なじみを超えて、恋してしまったから」


思いがけない言葉が返ってきて、あたしは言葉を飲み込んだ。


な、なにそれ、意味わかんない。
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