ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
隣の雄太ちゃんがすごく堂々としているから、あたしも安心できる。


でも祭壇まで花びらを撒いて、役目を終えて自分の席に戻ろうとしたとき……『あれ?』って思った。


あたし、これからどこに行けばいいんだっけ?


帰る場所、忘れちゃった。ママとパパ、どこ?


キョロキョロして探したけど、背の高い大人の人たちがズラリと並んで座ってるから、遠くまで見渡せない。


目の前が知らない顔でいっぱいになったせいで、心の中も不安でいっぱいになって、急に怖くなった。


ママ、ママ、どこ? どうすればいいのかわかんない。


『瑞樹、最後まで泣かないでちゃんとやれるわよね?』って、ママと約束したのに。


もう泣いちゃいそうだよ。どんどん鼻の奥が熱くなって、みんなの顔がじんわりして、よく見えない。


これじゃママとパパを探せない。ますます泣きたくなっちゃうよお……。


「瑞樹ちゃん、こっち」


半ベソをかいてるあたしの手を、雄太ちゃんがキュッと握ってくれた。


雄太ちゃんの手はすごく柔らかくて、ビックリするほど温かかったから、今にもこぼれ落ちそうだった涙が、すぐ引っ込んじゃった。
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