ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
あの子も、あの人も、きっと両親が揃っているんだろうな。


なのに、なんであたしは違うの?


あたしの生活は、人生は、これからどうなっちゃうんだろう。


昨日となにも変わらない景色なのに、まるで違った世界に見える。


それはきっと、あたし自身が変わってしまったからだ。


あたしはもう、元のあたしには戻れないんだ……。


そんなことを思うとますます悲しみが増してきて、歩きながら泣きそうになる。


何度も瞬きをして、涙をごまかすので精いっぱいだった。


学校について生徒玄関で靴を履き替え、生徒の行き来の激しい場所から少し離れた場所で、そのまま海莉を待った。


授業が始まる前にふたりきりで、両親のことを打ち明けたい。


お願い海莉、早く来て。


あたし、すごく心細いよ……。


周りから隠れるように身を縮めて待っていると、いつも通りの時間に海莉が登校してきた。


下駄箱に外靴を入れている背中に近寄り、そっと声をかける。


「海莉」


「あ、瑞樹おはよ……って、うわ!?」


笑顔で振り返った海莉の表情が固まって、両目が大きく見開かれた。


すっかり腫れ上がったあたしの両瞼を持て、海莉はひどく驚いているらしい。


「ど、どうしたの!? なにがあったの!?」


「昨日、いっぱい泣いちゃったの……」


「それは見ればわかる! 泣いた原因を聞いてる!」


「チャイム鳴るまで少し話せる?」


「もちろんだよ! こっち来て!」
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