ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「あのさ、今日の放課後、時間あるか?」


塀沿いに植えられている木々の枝にスズメが群れている様子を見ながら、雄太が口を開いた。


「ちょっと体育館に来てほしいんだ」


「体育館?」


「ああ。デリケートな話だから誰も人がいない場所でゆっくり話したい」


体育館、か。


今はちょうどテスト期間前で部活が中止だから、放課後の体育館は閉鎖になる。


たしかに、周りで不特定多数の人がガヤガヤしているような場所で話したい内容じゃないし。


「うん。あたしも周りを気にしないで話したい。ホームルームが終わったらすぐ行くよ」


「待ってる。じゃあ」


あたしの頭の上にポンポンと手を乗せて、雄太は自分の教室に戻っていった。


「甲斐くん、なんだって?」


その場にぼんやり立ち尽くしていると、後ろから海莉が遠慮がちに声をかけてきた。


「放課後に体育館でゆっくり話そうって」


「そっか。きっと甲斐君が瑞樹の気持ちを一番理解してくれると思う。話、ゆっくり聞いてもらいなよ」


「うん」
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