ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
『瑞樹』
「わっ!?」


こ、この声、雄太!?


でもこれマイクを通した声だ。


「雄太?」


あたしは跳ね上がった心臓をなだめながら、正面ステージ右上の、天井の辺りの小さい窓を振り返った。


あそこには館内放送用のブースがある。よく見れば、窓に人影が見える。


あれ、雄太だ。あそこからマイクを通して話しかけているんだ。


「おーい。そこでなにしてるの?」


小窓に向かって手を振りながら声を張り上げると、答えが返ってきた。


『俺、お前と話したいんだ』


「知ってるよ。そのためにここに来たんじゃん。そんなとこにいないで下りてきなよ」


なにしろ静かだから、普通以上にマイクの音も自分の声も周りによく響く。


まるで音が上から降ってくるみたいだ。


『ずっと溜めてた分、照れがデカいんだよ。まともに顔を見ながらじゃ、とてもお前に告れない』


――ドキン……


心臓が即座に反応した。


小窓の奥に目を凝らして、ドキドキと騒がしい自分の胸の音を聞きながら、同じ言葉を心の中で繰り返す。


告る? 今雄太、お前に告るって言わなかった?


え? 告るってどういう意味?
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