ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
その声はとても柔らかくて、穏やかだった。


それでもあたしの心を強く揺さぶるには充分で、あたしは、小さな声を出すのが精いっぱい。


「どうしても」


「それ、答えになっていない」


「うまく答えられる自信ないもん」


「大丈夫だ。お前の言うことなら俺、どんなに支離滅裂な説明でも理解できる自信あるから」


「雄太……」


「お前って語彙力ないし、理屈で物事を整理するのが苦手なタイプだからな。そんなお前とずっと一緒に育ってきたおかげで、そっち方面の能力はかなり鍛えられた」


‥‥‥ケンカ売られているんじゃないかと思うのは、あたしの考えすぎだろうか?


でも悲しいくらい反論できない。ぜんぶ事実だもん。


だからきっとあたしが言うことも、あたしの気持ちも、雄太なら本当に理解してくれるだろう。


そしてそれが怖いんだ。


理解されて、『わかった。じゃあ幼なじみのままでいよう』と言われてしまうことが。


たった今、あたしを好きだと告げてくれた雄太の口から、その言葉を聞くのがつらい。
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