ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
言葉にしたら苦しくて、息が詰まった。


かつて、あたしたちと同じ制服姿で笑っていた両親の姿が、どうしても自分たちに重なる。


夢にまでみていたのに。


雄太と思いが通じ合う日をずっと夢に見続けてきたのに。


それが現実になったとたん、手放さなきゃならないなんて。


悲しくて情けなくて理不尽で、いっそこの場にしゃがみこんで、わんわん泣きたい。


「そうか。お前にしては珍しくわかりやすい説明だったな。理解した」


ちょっとだけ間を置いてから、雄太が淡々と答えた。


その言葉があたしをますます悲しくさせて、胸がえぐられるみたいにズキンと痛む。


ああ‥‥‥理解されてしまった。納得されてしまった。


ほんの一瞬だけ叶った、儚い両想い。


それを終わらせるための言葉を聞くのが怖くて、あたしは息を吸い込みながらギュッと目を閉じた。


「でも俺、納得しないし受け入れない」
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