ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「それでも信じてほしい。信じろ。俺を信じろ、瑞樹」


どんなにあたしが訴えても、背中から繰り返し聞こえる声は、どうあっても揺るがない。


知ってる。雄太はそういう人。


簡単に説得できるなんて思っていないよ。


だからこれは最終手段。あたしは、覚悟を決めてこの言葉を言わなきゃならない。


「ごめん雄太。そもそもあたし、雄太のことそんな風に見たことないから」


シンと静かな体育館に、ひときわ静かな時間が流れた。


ひどく気まずくて痛い空気に、強く唇を噛んで耐えるしかない。


大嘘。人生で一番ひどい嘘だ。


相手だけじゃなく、自分自身をもこんなに傷つける嘘をつく日がくるなんて、思いもしなかった。


「本当のこと言うとさ、あたし好きな人がいるんだ。雄太じゃない人」


嘘。違う。痛い。


「だから雄太のこと、そんな風に見れない。ごめんね」


嘘。違う。痛い。好き。


雄太、好き!


口から出る言葉と真逆の言葉を、心が全力で叫んでる。


違う違うと叫ぶ声が、胸をキリキリ引き裂いて、痛みと悲しみで頭が変になりそう。


本当の気持ちが、今にも胸を突き破って飛び出してしまいそう。


ねえ、苦しいよ。


こんな残酷なことってないよ。


痛い。痛い。


痛いよ雄太!


「だ、から、これからも雄太は、ずっと大切な、幼なじみ……」

「嘘だ」
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