ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
フワッ……。


後ろから伸びてきた両腕に体をキュッと包み込まれて、あたしの息が止まった。


「お前ほんとバカだな」


胸の前で交差する二本の腕が、今にも泣き出しそうなあたしをしっかりと受け止める。


「そんな言いたくもない嘘ついて泣くなよ」


「……泣いて、なんか、な……」


最後まで言い切れずに、涙がボタボタこぼれ落ちた。


後ろ髪に感じる雄太の頬の感触。


その温もりと、耳をくすぐる優しい吐息。


力強い両腕が、こんなにも簡単にあたしの嘘を黙らせてしまう。


「好きだよ、瑞樹。お前が好きだ。こんなにも大好きだ」


聞いたこともないような切ない声が、耳元で特別な言葉をささやく。


世界中の女の子が、この夢のような言葉をどれほど望んでいるだろう。


あたしも望んでた。子どもの頃からずっとずっと。


だからこそ涙が止まらない。


喜びと悲しみと空しさが混じり合って、それがぜんぶ涙になって溢れてくる。


あたしは、雄太の言葉を受け入れられないから。


「うっ‥‥‥。う、えぇ‥‥‥」

「泣くなよ。苦しんでるお前を守りたいんだ。支えたい。力になりたい。この本気の気持ちをお前に拒絶されたら、俺はどうすりゃいい?」
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