ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
古くて緩んだ蛇口から、ピチョンピチョンと水が漏れる音が聞こえる。


あたしの涙もまるで壊れた蛇口みたい。ちっとも止まってくれない。


どんなにきつく締めたとしても、零れ落ちるものは止められないよ。


必死に繋ぎ止めようとしたって、時間が経てばいつか隙間から流れ落ちてしまうんだよ。


「うっ、うぅ、ヒック……」


しゃくり上げて泣く声に、水の音が重なる。


ぶつかった不協和音が胸をザラリと撫でて、容赦なく苦しみが増す。


あたしは誰にも見つからないことを祈りながら、たったひとりで泣くより他になかった。





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