ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「こういう写真って、どうやって手に入れてるの?」


「先輩って男女問わず人気者だからさ。あちこちで写真に写ってるから、いろんな人に頼み込んで手に入れてるの」


海莉は机の上のフォトフレームを手に取り、愛おしそうに表面を指先で撫でている。


その表情や指の動きから、本当に先輩のことが好きなんだって気持ちが、改めて伝わってきた。


「ああ、関先輩って素敵だなあ。好きだなあ」


「生徒はもちろん先生からまで、まんべんなく人気あるよね」


「関先輩みたいな人って親友キャラって言うのかな? おかげであんまり恋愛対象としては見られていないみたいだから、ライバル少なくて助かるー」


写真を見ながらエヘヘっと照れ臭そうに笑う海莉は、とっても可愛い。


三年生と二年生の教室は階が違うから、なかなか会う機会はないし、海莉は生徒会役員でもないから先輩との接点はそれほどない。


たまに雄太と先輩が立ち話しているときに、さりげなくそばに近づいて、たまにちょこっと会話に混じるくらいだ。


それでも海莉は、見ているこっちが切なくなるくらい、先輩のことを真剣に見つめている。


知り合いの三年生から先輩に関する情報をかき集めては、ほんの小さなことを知っただけで、天使みたいな顔して幸せそうに笑うんだ。


そんな海莉の素直な笑顔を見るとホッとする。


あたしのグチ話も嫌な顔ひとつしないで聞いてくれるし、本当に感謝だ。
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