ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
「海莉と話してると気持ちがすごく楽になる。つらいこと話せる相手は海莉だけだよ」


「甲斐くんとは、あれからぜんぜん?」


「…………」


あたしは、なにも答えずに視線を泳がせた。


実はあれから雄太とは、一度も話していない。


あの翌日から雄太は教室にも来ないし、電話も一度もかかってこない。


また体育館のときみたいに迫られたらどうしようって不安に思っていたから、なんのアプローチもないことにホッとした。


同時に、ちょっと肩透かしな気分だ。


たぶん、あたしを追い詰めないように時間を置いてくれているんだと思う。ちょうどテスト期間に入ったことだし。
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