ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
あたしが最近急激に痩せたって、かなり心配してたから。


ガクンと食欲が落ちたあたしに、自分のお弁当まで丸ごと渡して「なんでも好きなの食べて」って勧めてくれてた。


納豆三パックとお弁当をペロリと平らげる、あの大食いの海莉が。


どうしても食欲が戻らないあたしを心配して、前からあたしが食べたいって言ってたケーキなら食べられるかもって考えたんだろう。


三ヵ月分の労働と引き換えに、このケーキを手に入れてくれたんだね……。


「ありがとう。ありがとう海莉」


「お礼なんていいから、食べよう」


「うん、いただきます。でもフォークはあるけどお皿がないよ?」


「そんなの必要なーし!」


海莉がイタズラっぽい顔をして、ホールケーキに直接ブスッとフォークを突き刺した。


「え? そのまま食べるの?」


「瑞樹、こうやって食べてみたいって前から言ってたじゃん?」


「あ、うん。一度でいいからやってみたかった」


禁断の、ホールケーキそのまま一気食い。


子どもの頃からの夢だったけど、さすがにお母さんに許してもらえなくて。
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