ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
運営委員の仕切りで、各競技がスムーズに進行していく。


放送部員のアナウンスが、うまく生徒たちの競争感を煽って空気を盛り上げた。


あたしも、まずは玉入れに参加。


ホイッスルと同時に玉を拾って、ひたすら頭上に投げまくる。


でも他の人たちが投げた大量の球にぶつかって弾かれて、カゴの中に入ってるんだか入ってないんだか、まったくカオス。


とりあえず玉を放るという責任だけは果たして、満足して席に戻った。


自チームを応援する声に混じって鳴り響く音楽。いつもの学校生活とは違う非日常感。


空から降る日差しも、校庭の土の匂いを運ぶ風も、気持ちいい。


あたしも、今日は久しぶりに晴れやかな気分だ。


両親のことや雄太のことで、ずっと気の落ち着くヒマがなかったからなあ。


……そういえば雄太、どこかな?


テストが終わってから、運動会の準備で生徒会も忙しくしてたみたいだけど。


無意識のうちに、雄太を目で探している自分に気がついて、少し落ち込んだ。


だって、こんなに長く雄太の顔を見なかったことってなかったから。


今まではどんなに忙しくたって、毎日雄太は教室に来てくれたし、電話もメッセージもマメにくれた。


それが今回は、あの体育館の告白の日からなんの音沙汰もない。
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