ずっと恋していたいから、幼なじみのままでいて。
自然に流した前髪。涼しい二重瞼の目。


いつもとまったく変わらない表情で、雄太が微笑んでいる。


久しぶりに顔が見られてうれしいし、ホッとしたし、胸の奥がキュンと熱くなった。


けど、まるで体育館でのことを忘れたみたいな普通の様子に、少しとまどう。


「お前の玉入れ、見たぞ。相変わらずノーコンだなあ。パーフェクトに外してたぞ」


そんなことを言って笑ってる雄太に、なんて言えばいいのかな?


ここはどういう反応をするのが正しいんだろう?


あたしも、あの体育館のことはなかったみたいに振る舞えばいいの?


「一個くらい、貢献したもん。たぶん」


とりあえず、複雑な気持ちを隠してそんなことを言ってみた。


そしたら雄太はおかしそうに笑って、話に乗ってくる。


「そりゃお前の思い込みだ。残念ながら見事にぜんぶ外してた」


「なにさ。そんなちゃんと見てなかったくせに」


「ちゃんと見てたに決まってるだろ」
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