あまいあまい、チョコレートあげる
「今日は、有村が真端のこと、つれていっちゃったでしょ?
……ぼっちだよね」
湊川の言葉を無視して、お弁当箱を取り出す。
「あれ?無視かな」
「いただきます」
お弁当箱の蓋を開けようとすると、ひょいと取りあげられた。
「あっ!」
立ち上がって、上に掲げる湊川。
あたしも立ち上がって、一生懸命背伸びをする。
……けど、そんなことで35センチの差が縮まるわけもなく。
「ちょっと、ついてきてよ。
ふたりっきりなら、無視できないよね?」
意味ありげなにっこり顔で告げるもんだから、唇を噛み、恨めしさめいっぱいの状況で、湊川のでっかい背中を追いかけた。