君の言葉は私を刺す
【早輝 side】


なんでだよ。




自分がウザイ。




あんな言葉一つに動揺するとか。




最悪だ。




飛び込む前、波人が俺に近づいて耳打ちした。




「俺、あいつのこと好きなのかもしれない。」




なにを、急に。




何時間か前は違うと言って、今度は好きだって。




そんなの、両思いじゃん。




そう思った瞬間、心が軋んだ。




痛くて、水の中で苦しいなんて、泳ぐこと以外ありえないのに。




痛かった。




呼吸するのが苦しかった。




それにしてもダサい。




こんなことで負けるなんて。




俺は頭にタオルをかけたまま、会場の裏に出る。




「早輝、大丈夫?」




心配した來斗が俺の元に来た。




「おぅ。次だろ?頑張れよ。」




そう言うと俺はジャージを着て、人気のない階段に座り込んだ。




いろんな思いが頭の中をめぐって、ぐちゃぐちゃになる。




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