君の言葉は私を刺す
【早輝 side】





冬羽との出会いは突然だった。





川でも、学校でも。




初めて見た時は、ギター持った女の子って感じだった。





いつの間にか目で追うようになったのは、橋の上から飛び降りた時。




女の子なのに、なんの躊躇もなく飛び込んで、太陽と冬羽が重なって見えた時、胸が変な音を立てた。




カッコイイと思った。




でも、波人が冬羽を置いて一人で帰って行った時に見せた、悲しそうな顔を見て、思っちゃったんだ。





冬羽もやっぱり女の子で、弱いところもあるって。




ギター弾いてる時の堂々した顔、飛び込んだ時の真剣な顔、川に入ってはしゃぐ無邪気な顔。




そして、傷ついた時の悲しそうな顔。




コロコロ変わる表情に俺はいつの間にか惹かれていた。





でも、冬羽はきっと波人が好きだ。





ずっと目で追っていることなんて、直ぐにわかった。




でも気になるものは気になるんだ。




さっき、教室を飛び出して波人に話しかけているのを見つけた。




なんで、波人はあんな返し方しかしないんだよ。




拳をぎゅっと握って、頑張って話しているのに。




冷たい言葉しかかけない波人に腹が立った。




< 39 / 177 >

この作品をシェア

pagetop