君の言葉は私を刺す
【波人 side】




本当のことを言っただけだ。




たまたまあいつがいて。




顔みたら、全然違ったんだ。




海で見た時の顔は自信に充ちていて、全身から今が1番楽しい。




そう言ってるような態度だった。




なのに今は、今にも崩れそうで。




泣きそうで。




顔を見ているだけで、嫌なトラウマが思い出される。




女々しいなんて、別に言うつもりなかった。




でも、振り返って顔みた時、重なったんだ。




自分の母親と。




さすがに自分でも言いすぎたと思った。




だから、謝ろうとして降りた階段をまた上った。




でもそこには早輝があいつを抱きしめいる姿。




それがまた重なったんだ。




母親の不倫現場と。




心臓が痛かった。




少しここで休んでから部室に戻ろうとした。




後からしたら、休まなければ良かった。




早輝にボロクソに言われた。




分かってるって、心の中で呟いたけど、言うのやめた。




早輝があいつを好きだって。




確かに、早輝は良い奴だ。




だから、いいんじゃないって言ったのに。




また突っかかれる。



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