わたし、BL声優になりました

「最初の頃は黒瀬先輩に対して、苦手意識を持っていたのは事実です。

 けど、この事務所に入って、新人声優として仕事をこなしていくうちに、先輩は本当は努力家で、仕事に対して真面目に向き合っていて……。

 だから自然と周りの人達からも信頼されていて、それが次のお仕事として繋がっていくんだなと思ったんです。そんな姿に気がついてからは、先輩のことをとても尊敬しています」

「あ、ありがとう……。面と向かってそんなことを言われるとは思ってなかったから、少し戸惑うな」

 黒瀬はゆらぎの嘘偽りのない称賛に、戸惑いつつも、その言葉を自身の胸に刻む。

 隠していたつもりの努力も、ゆらぎには全て見透かされていたらしい。

 嬉しさと恥ずかしさが交差する。

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