わたし、BL声優になりました
「それで、恋敵の僕に協力を求めに来る?」
「仕方ないだろ。よく考えたら業界で親しくしてる奴なんて、お前くらいしか思いつかなかったんだよ」
「だったら、態度を改めなよ。それが人にものを頼む態度なの? 僕はね、今とてもイライラしているんだ。てっきり交際報告しに来たのかと思ったら、結局、尻込みして返事さえ聞けなかったとか、聞いて呆れる。僕なら、そんなことにはならない。だって──」
「ああーー!! うるさい! そんなに俺が嫌いか? あ? 喧嘩なら買うぞ」
「…………」
緑川は苛立ちが押さえきれないのか、無言で黒瀬を睨みつける。
黒瀬もまた、緑川の視線を逸らさずに受け止めていた。