わたし、BL声優になりました
 場所は緑川の住むマンションの一室。

 出歩くのを控えるべきかと思案したものの、引き込もっていては何も解決にはならないと思った黒瀬は結局、緑川を相談相手に決めた。

 が、やはり人選を間違えたのか。

 開口一番、緑川の嫌味。

 ここは、心を無にして耐えるしかないのか。

「何回目だっけ? 黒瀬が僕に貸しを作るの」

「知らん」

「その態度……」

「悪い。借りは倍にして必ず返す」

 緑川の蔑んだ視線に居心地が悪くなり、思わず、謝罪の言葉を口にする。

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