わたし、BL声優になりました

「はい。……は? 白石が居なくなった? どういうことだよ」

 緑川は渇いた舌先を潤す為に、話し込んでいて、すっかり冷めた珈琲を口に運ぼうとするが、黒瀬の言葉を聞き、その手を止めた。

 黒瀬は彼を一瞥するもすぐに視線を逸らし、通話相手との会話を続けている。

「……ああ、なにか分かったら連絡くれ。じゃあ」

「どうかした?」

 緑川は通話を終えた黒瀬に問い掛ける。

「白石が消えた」

「え?」

 予想もしない返答に、緑川は思わず疑問の声が零れた。

「部屋がもぬけの殻だったらしい。赤坂から、そう連絡がきた。お前、なにか知ってるか」

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