わたし、BL声優になりました

「いや、何も。むしろ予想外の展開。携帯は? 繋がらないの?」

「既に解約された後らしい」

 そう答えつつ、黒瀬は早速ゆらぎに連絡を試みているようだが、案の定繋がらないようだ。

「はぁ……どいつもこいつも……。面倒事ばかり増やして……黒瀬の事務所は一体どういう教育受けてるわけ」

 緑川は額に手を当て、盛大にため息をついた。この目まぐるしい状況に、流石に飽きてれている様子だった。

「そんな小言、今は必要ないだろ」

「彼女が行きそうな場所は? 心当たりないの」

「ない」

 きっぱりと答える黒瀬に、緑川は頭を抱える。

「彼女のことだから、これ以上黒瀬に迷惑は掛けられないって失踪したんだろうけど、もう少しタイミングを考えて欲しいね。僕の所にも来ないとなると……」

「冬馬さゆに会ってみるか」

< 134 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop