わたし、BL声優になりました
「いや、何も。むしろ予想外の展開。携帯は? 繋がらないの?」
「既に解約された後らしい」
そう答えつつ、黒瀬は早速ゆらぎに連絡を試みているようだが、案の定繋がらないようだ。
「はぁ……どいつもこいつも……。面倒事ばかり増やして……黒瀬の事務所は一体どういう教育受けてるわけ」
緑川は額に手を当て、盛大にため息をついた。この目まぐるしい状況に、流石に飽きてれている様子だった。
「そんな小言、今は必要ないだろ」
「彼女が行きそうな場所は? 心当たりないの」
「ない」
きっぱりと答える黒瀬に、緑川は頭を抱える。
「彼女のことだから、これ以上黒瀬に迷惑は掛けられないって失踪したんだろうけど、もう少しタイミングを考えて欲しいね。僕の所にも来ないとなると……」
「冬馬さゆに会ってみるか」