わたし、BL声優になりました
 思い切って、今回は髪の色を少し明るいミルクティーブラウンに染め上げた。

 纏っていた暗い雰囲気も、パッと華やぎ、女性らしい柔らかさに包まれる。

「やっぱり、私の見立てに間違いはなかったわね。今のこの姿で黒瀬に会ったら、彼、卒倒するんじゃないかしら」

 悪戯めいた笑みで、九十九院は満足気に頷く。口許に手を当てる仕草はとても妖艶で、美しいなんて言葉だけでは表せないのではないかと、ゆらぎは惚けたままに思う。
 
 おそらく、そう思っているのはゆらぎの憧れフィルターのせいだと思うが。


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