わたし、BL声優になりました
黒瀬の本音を聞いた銀次は、優しく微笑むと携帯を取り出し、誰かに電話をかけているようだった。
手短な会話を終えると、携帯を机に置き、改めて黒瀬を見据える。
「ちょっと予定は狂っちゃったけど、まあいいか」
「……そろそろですかね」
赤坂は腕時計を確認し、呟く。
と、同じにノックも無しに、バンっとドアが乱暴に開け放たれた。
そこにいたのは、九十九院トキと、もう一人。
──白石護、否。夏川ゆらぎの姿だった。
「……黒瀬、先輩……?」
九十九院の後ろに隠れるようにして、立ち尽くしているゆらぎは、黒瀬の姿を認めると、次の言葉を繋げないでいた。
「……っ……白石、なのか……?」