わたし、BL声優になりました
「俺が、おかしくなって、お前の幻覚を見てるとかじゃないよな?」
「幻覚ではないですけど。黒瀬先輩、どこか具合が優れないんですか」
ゆらぎは黒瀬の表情を確認しようと、その場を動き彼の元へと、ゆっくりと近付いていく。
「は? そんなわけ──、いや、うん。駄目だった。さっきまで」
言いかけて止める。確かに先程までは、調子が良くなかった。だが、その理由は彼女に会えないことへの不満や苛立ちから来る精神的なものだ。
「え! なら、休んだほうが」
「い、いや。平気。今は」
「そうですか」
いつの間にか、至近距離になり心配そうに黒瀬を見つめるゆらぎ。