わたし、BL声優になりました
第三章
二人はスタジオを出た後、タクシーで緑川の自宅マンションへ向かった。
自宅に着くと、緑川は冷蔵庫の中身を確認してから、手際よく料理を作り始めた。
「……ウグイス先輩って料理出来たんですね」
「馬鹿にしてるだろ」
「馬鹿にはしてませんけど、意外で」
テーブルに並べられたお洒落な料理は、全て緑川の手作りで、ゆらぎは驚きを通り越して唖然としていた。
「こんなの、盛り付けをそれっぽくすれば、それだけで、お洒落に見えるんだよ」
「へー、なるほど」
言われてみれば、市販の物に一手間加えた料理がほとんどだ。
けれど、ズボラな人間は、その『一手間』が面倒で料理とは、いかに手を抜くことが出来るかを常に考えているものだ。
「で、本題。明日のことだけど、君にはコレを着てもらう」
緑川が座るソファの横に置かれているのは、いかにも高級そうなショップバッグで、黒色の紙袋の中央には、金色のブランドロゴが光っている。
「着る?」
「そう。着るの」
私の服装があまりにも、みすぼらしいから、気を利かせたウグイス先輩が、服を用意してくれた、ということなのか。
ウキウキとしながら、渡された紙袋の中身を確認する。
すると、中には……。
「……え」
「どう? ボクのセンス」
『どう?』と言われても、これはどう見ても女性物の服だ。
「あの、ウグイス先輩。前にも言ったと思うんですけど、黒瀬先輩には性別のこと、隠したままですよ」
「知ってるよ? だから、買ったんだ。明日出掛けるときに、これを着て、君が本来の姿で現れて、それでアイツが気づいたら面白いなーっと思って」
自宅に着くと、緑川は冷蔵庫の中身を確認してから、手際よく料理を作り始めた。
「……ウグイス先輩って料理出来たんですね」
「馬鹿にしてるだろ」
「馬鹿にはしてませんけど、意外で」
テーブルに並べられたお洒落な料理は、全て緑川の手作りで、ゆらぎは驚きを通り越して唖然としていた。
「こんなの、盛り付けをそれっぽくすれば、それだけで、お洒落に見えるんだよ」
「へー、なるほど」
言われてみれば、市販の物に一手間加えた料理がほとんどだ。
けれど、ズボラな人間は、その『一手間』が面倒で料理とは、いかに手を抜くことが出来るかを常に考えているものだ。
「で、本題。明日のことだけど、君にはコレを着てもらう」
緑川が座るソファの横に置かれているのは、いかにも高級そうなショップバッグで、黒色の紙袋の中央には、金色のブランドロゴが光っている。
「着る?」
「そう。着るの」
私の服装があまりにも、みすぼらしいから、気を利かせたウグイス先輩が、服を用意してくれた、ということなのか。
ウキウキとしながら、渡された紙袋の中身を確認する。
すると、中には……。
「……え」
「どう? ボクのセンス」
『どう?』と言われても、これはどう見ても女性物の服だ。
「あの、ウグイス先輩。前にも言ったと思うんですけど、黒瀬先輩には性別のこと、隠したままですよ」
「知ってるよ? だから、買ったんだ。明日出掛けるときに、これを着て、君が本来の姿で現れて、それでアイツが気づいたら面白いなーっと思って」