わたし、BL声優になりました
その横顔が、どこか疲れているように見えるのは気のせいだろうか。
時計の針は予定より一時間押して、午後七時から収録が開始された。
「こんばんは。キミセメのお時間です。メインパーソナリティは、声優の黒瀬セメルでお送りしています。今回はゲストが二人来ています。それじゃあ、自己紹介してもらおうかな。どうぞ」
黒瀬の合図により、緑川が先に挨拶を始めた。
「こんばんは。声優の緑川ウグイスです。ここにお呼ばれされるのは初めてですね」
「こんばんは。声優の白石護です。えっと、ゲストは二回目です」
「このラジオに、ゲストが二人来るのって初じゃないかな?」
黒瀬は別ブースにいる監督に問い掛ける。
「へーそうなんだ。ボク、ラジオにはあまり出ないからすごい新鮮。白石くんは二回目なんだ?」
「え? そうですね。前回は黒瀬先輩がラジオに誘ってくれたので」
「うわっ、羨ましい。後輩の特権だね」
緑川から話を振られるとは思わず、ゆらぎはたじろいだ。
どうやら、気まずいと思っているのは私だけらしい。
彼は普段と何の変わりもなく、接してきたことに驚きを隠せなかった。
「まあ、俺にとっては初の後輩だからね。そりゃ甘やかすでしょ」
すかさず、黒瀬のフォローが入り、その場は上手く凌ぐことが出来た。
こんなことで動揺して、無駄に黒瀬先輩に迷惑は掛けられない。
しっかりしなければ……。
赤坂さんも言っていたじゃないか。
何かあったら、助けてくれると。
だから、もう少し肩の力を抜かないと……。
時計の針は予定より一時間押して、午後七時から収録が開始された。
「こんばんは。キミセメのお時間です。メインパーソナリティは、声優の黒瀬セメルでお送りしています。今回はゲストが二人来ています。それじゃあ、自己紹介してもらおうかな。どうぞ」
黒瀬の合図により、緑川が先に挨拶を始めた。
「こんばんは。声優の緑川ウグイスです。ここにお呼ばれされるのは初めてですね」
「こんばんは。声優の白石護です。えっと、ゲストは二回目です」
「このラジオに、ゲストが二人来るのって初じゃないかな?」
黒瀬は別ブースにいる監督に問い掛ける。
「へーそうなんだ。ボク、ラジオにはあまり出ないからすごい新鮮。白石くんは二回目なんだ?」
「え? そうですね。前回は黒瀬先輩がラジオに誘ってくれたので」
「うわっ、羨ましい。後輩の特権だね」
緑川から話を振られるとは思わず、ゆらぎはたじろいだ。
どうやら、気まずいと思っているのは私だけらしい。
彼は普段と何の変わりもなく、接してきたことに驚きを隠せなかった。
「まあ、俺にとっては初の後輩だからね。そりゃ甘やかすでしょ」
すかさず、黒瀬のフォローが入り、その場は上手く凌ぐことが出来た。
こんなことで動揺して、無駄に黒瀬先輩に迷惑は掛けられない。
しっかりしなければ……。
赤坂さんも言っていたじゃないか。
何かあったら、助けてくれると。
だから、もう少し肩の力を抜かないと……。