わたし、BL声優になりました
ここ二週間、ゆらぎはオーディション漬けの日々が続いた。しかし、結果は全て落選。
そんな鬱々とした日々が、更にゆらぎの心に拍車をかけていた。
都内のスタジオで行われた、オーディション終わり、その足取りで冬馬と待ち合わせをしているカフェへ向かう。
店内で先にカフェラテを楽しんでいた冬馬が、ゆらぎに気付き、小さく手を振る。
「無理に呼び出してごめんね」
「ううん。私も相談したいことがあったから大丈夫。それより、個室のカフェとか初めて入ったんだけど」
「ゆらぎがその姿だから一応気を使ったの」
「あ。忘れてた」
冬馬に指摘され、気付く。
男装姿がすっかり板につき、自分の立場を忘れていた。
慣れというのは実に恐ろしい。
「でしょ? 変装もしてないし」
「すみません……」
「別に謝らなくても。ゆらぎらしくていいと思うよ」
冬馬は、だて眼鏡をかけて控えめに変装をしている。
というのも、彼女の場合はアイドル声優として活動をしているため、熱愛報道はご法度らしい。
事務所から厳しい指導を受けていると、愚痴をこぼしていたのを思い出した。
彼女自身は本来、アイドル声優としてではなく、演技力で勝負をしたいと言っていたが、実際はそうもいかないのが現状だと嘆いていた。
「でも、あれだね。さゆは仕事順調なんでしょ?」
ゆらぎは冬馬と同じカフェラテを注文し、向かい合わせで席に着く。
そんな鬱々とした日々が、更にゆらぎの心に拍車をかけていた。
都内のスタジオで行われた、オーディション終わり、その足取りで冬馬と待ち合わせをしているカフェへ向かう。
店内で先にカフェラテを楽しんでいた冬馬が、ゆらぎに気付き、小さく手を振る。
「無理に呼び出してごめんね」
「ううん。私も相談したいことがあったから大丈夫。それより、個室のカフェとか初めて入ったんだけど」
「ゆらぎがその姿だから一応気を使ったの」
「あ。忘れてた」
冬馬に指摘され、気付く。
男装姿がすっかり板につき、自分の立場を忘れていた。
慣れというのは実に恐ろしい。
「でしょ? 変装もしてないし」
「すみません……」
「別に謝らなくても。ゆらぎらしくていいと思うよ」
冬馬は、だて眼鏡をかけて控えめに変装をしている。
というのも、彼女の場合はアイドル声優として活動をしているため、熱愛報道はご法度らしい。
事務所から厳しい指導を受けていると、愚痴をこぼしていたのを思い出した。
彼女自身は本来、アイドル声優としてではなく、演技力で勝負をしたいと言っていたが、実際はそうもいかないのが現状だと嘆いていた。
「でも、あれだね。さゆは仕事順調なんでしょ?」
ゆらぎは冬馬と同じカフェラテを注文し、向かい合わせで席に着く。