わたし、BL声優になりました
「黒瀬から連絡が来たんだ。どういう内容だったと思う?」
嫉妬という言葉を誤魔化すように、緑川はゆらぎに問い掛ける。
「内容、ですか? 俺にもう関わらないでほしい……とかですかね」
「それも嫌だけど、違うよ。……もう一度、シライさんに会わせてほしい、だって」
シライって、私が女装したときに使った偽名だ。
それって……。
やっぱり、黒瀬先輩は気付いていたってこと?
「で、今は後悔してる。黒瀬に会わせなければ良かったって。こうなるなんて思わなかったんだ」
ゆらぎは緑川の異変に気付き、表情をそっと窺う。普段とは違う、緑川の雰囲気に戸惑いを隠せなかった。
「後悔って……どういうことですか?」
ウグイス先輩はさっきから嫉妬だ後悔だ、と何を言っているのだろう。
いくつもの疑問符が浮かぶ。
でも──。これは……。
「まだ確信はしてない。けど、俺は多分。──君のことが好きなんだと思う」
緑川はゆらぎを見つめたまま、真剣な眼差しで言葉を紡いだ。
「えっ……」
ウグイス先輩が、私のことを好き?
それは、人としてなのだろうか。
それとも……。
ウグイス先輩の突然の告白に、ゆらぎは戸惑いを隠せないまま、言葉を紡ぐ。
「……ウグイス先輩は、私のことを女性として認識してるんですか?」
「当たり前だろ。どう見ても男には見えないし。むしろ、気づかない周りが鈍すぎる」