わたし、BL声優になりました
「そして。この状況を変えられるのは、君しかいないよ」

「私、ですか」

「おい、緑川。これ以上白石を危険に晒すな」

「僕だって意地悪で言ってるんじゃないよ。少しは責任感じてるんだから」

「少ししか責任感じてないのか」

「黒瀬先輩、ちょっと黙っててください。話が進まないので」

「……心配している俺に感謝はないのかよ」

「で、何か閃いたようですけど、どんな内容なんですか」

 緑川に視線を向けて、話を促す。

「ざっくり案だけど、二通りある。一つ目は、君が直接冬馬さゆと接触して理由を聞き出すこと。もしかしたら、複雑な事情を抱えているのかもしれない。そして、二つ目が双子説。実は君には双子の妹がいるって話を自分から広めるんだ。そしたら、君が男装をして声優をしているってことは、一先ずは誤魔化せるかもしれない」

「どちらもかなりリスキーですね」

「ちょっと待て。その二つ目の双子説の時、俺はどうなるんだ? 結局売られるはめになるんじゃないのか」

「それは、可愛い後輩のために一肌脱ごうよ。黒瀬先輩」

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