死神の僕は命を描く
「すごい！とってもうまい！とりあえず見て！」

あまりの騒がしさに、莉音たちも作業の手を止め、僕の描いた絵をしぶしぶ見る。しかし、絵を見た瞬間に新のように驚き興奮し出した。

「すごい！とっても上手！」

「プロみたいだ！」

口々にみんな僕を褒める。僕は「ありがとうございます」とニコニコしながら言ったものの、心の中では喜んだりはしていない。絵がうまいのは当たり前だからだ。

僕が描いたのは、イタリアにあるコロッセオの絵。イタリアは、新が行きたがっている国だ。イタリアの話ができるかとしれないと思い、コロッセオを描いた。

「すごい！すごいよ！コロッセオをこんなにうまく描けるなんて！！ライ、お前天才だよ！」

新は目を輝かせて、僕の手を掴む。その時に僕はあることに気づいた。

人は、自分より優れている人に対して羨ましがると同時にその人を妬む。実際、僕も「すごい」と言われながら何度も妬まれた。目の奥に、妬みや嫉妬が隠れているのだ。
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