死神の僕は命を描く
僕の住むアパートから徒歩で十分行ったところに駅がある。赤煉瓦造りが特徴のレトロな雰囲気の駅だ。

駅は朝ということもあり、妖怪や神々で混み合っている。

みんな想像以上の混雑に顔をしかめているが、僕の表情は家を出た時と変わらず無表情だ。いや、家でも無表情だろう。

電車に揺られること二十分。駅から徒歩で五分ほどのところに僕の勤める会社がある。

三十階建ての大きなその会社では、エリートと認められた死神だけが働ける。つまり、僕もエリートの一人というわけだ。社員は百人以上。いつもデスクワークや見守りで忙しい会社だ。

僕の働いている階は二十九階。この階は、将来のこの会社の社長候補だけが働くことを許されている階だ。ちなみに、最上階が社長が働く場となっている。

他の階も設備は整っているが、二十九階は社長候補が働いているというだけあって、とても豪華だ。高級な優しいランプが輝き、最新のパソコンや機械が揃っている。広い休憩室もフロア内にある。
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