死神の僕は命を描く
今にも泣き出しそうな表情で、トラーンは続ける。
「事故で死ぬ予定のフィンランド人の見守りをしていたんだ。でも、その人間が夢を叶えるために努力している姿を見て、助けてやりたくなったらしい。……止めたけど、あいつはその人間を助けた。だから……」
カルナはトラーンとよく一緒にいた女の死神だった。しょっちゅう姿を変えていて、ある時は露出度の高いチャイナドレスを着た中国人、またある時はカラフルな衣装を着たアフリカ人、そしてある時はディアンドルを着たリヒテンシュタイン人になっていた。
性格もトラーンとよく似ていた。僕ら死神は、人間と仲良くなるために感情を身につける。つまり、人間と関わらない時には感情を出さなくてもいいのだ。その考えから、感情を出さない死神も多い。僕もその一人だ。しかし、トラーンやカルナのように感情を出す死神もいる。
そんな感情を持った死神は、いつか禁忌を犯す者としてこっそりマークされる。
禁忌とは、見守っている人間に同情するあまり、自分の命と引き換えに相手を助けることだ。助けられた相手は長く幸せに生きることができるが、その死神のことを忘れてしまう。それは相手に限らず、その死神と関わった者もだが……。
「事故で死ぬ予定のフィンランド人の見守りをしていたんだ。でも、その人間が夢を叶えるために努力している姿を見て、助けてやりたくなったらしい。……止めたけど、あいつはその人間を助けた。だから……」
カルナはトラーンとよく一緒にいた女の死神だった。しょっちゅう姿を変えていて、ある時は露出度の高いチャイナドレスを着た中国人、またある時はカラフルな衣装を着たアフリカ人、そしてある時はディアンドルを着たリヒテンシュタイン人になっていた。
性格もトラーンとよく似ていた。僕ら死神は、人間と仲良くなるために感情を身につける。つまり、人間と関わらない時には感情を出さなくてもいいのだ。その考えから、感情を出さない死神も多い。僕もその一人だ。しかし、トラーンやカルナのように感情を出す死神もいる。
そんな感情を持った死神は、いつか禁忌を犯す者としてこっそりマークされる。
禁忌とは、見守っている人間に同情するあまり、自分の命と引き換えに相手を助けることだ。助けられた相手は長く幸せに生きることができるが、その死神のことを忘れてしまう。それは相手に限らず、その死神と関わった者もだが……。