もののけ姫に愛されて。。
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悠斗に連れられ…、やってきたファミレス…

席に行こうとすると…、すでに誰かがその席につき、待っていたようだった…


律と悠斗の姿を見るなり…、慌てて腰をあげる…

その人物に、律はすぐそばに居る悠斗を軽く睨みつけた…同じ高校のクラスメイト・三枝 美結だった…


「…騙された…っ」

と、悪態をついた…

「人きぎ悪っ! 可哀想だろ? あからさまに避けてたら…」

睨みつけた律に、悠斗は苦笑いを浮かべながら…律を美結の目の前の席に促す…

律は、深いため息をつきながら…、その席に腰をかけた…

「じゃ! 俺は失礼するから!」

と、律とその美結を残し、悠斗はそそくさ…と帰ろうとする…

「っおい! 悠斗…っ」

慌てて、腰を上げかけた律…

「待って! 西園寺くん…、話しだけでも…」

そぅ、懇願され…律は、仕方なく、上げかけた腰を下ろした…

それだけなら…と、律は仕方なく承諾した…

「なに?」

ウェイターに、アイスコーヒーを頼み…それが届くと同時に、話しを切り出した…

「そんな…、怖い顔しないで。
佐伯くんに頼んだの…あたしなんだから。こうでもしなきゃ…西園寺くん、話もしてくれないでしょ?」

と、少し上目遣いの視線を向ける…

彼女のことが苦手な理由は、こういう所だ…

顔立ちも、性質についても…可愛いとは思う…

が、ただそれだけだ…

まぁ、こういう行動を起こさせているのは、律自身、自分も曖昧な態度を取ってきた…その責任もあるのだろう…

「俺、好きな子いるよ…」

その、ハッキリとした口調で言った…律の言葉に…美結はパッと顔を上げた…

「っえ? 誰?
ウチの学校の人っ?」

「…違うけど…。」

「…そか…、でも、付き合ってるの?」

「…じゃないけど。その人のことしか…考えられない…」
《自分のことを、ここまで想ってくれる彼女を…

こんな形で、突き放す…


でも、今は…あの人のことしか…》


…が。。

「それなら!
3ヶ月でもいいから、付き合って!」

その、耳を疑う言葉に、一気に現実に引き戻された…

「…はぁ…?
ちょっと、待て! いまの俺のハナシ、聞いてた?」

「聞いてる! 《好きな人はいる》けど、付き合ってる訳じゃないんでしょ?」

「…あ…、うん。」

「それなら、試験的でも、付き合って!
もし、それで…やっぱり、どうしてもダメなら…それでもいい!」

そぅ、いつもと違い…

自分のことを真っ直ぐに見据えて言った美結の言葉に、圧倒された…

「あたしのこと、嫌いなワケじゃないんでしょ?
…それなら、その3ヶ月で今より少しは好きになってくれる可能性もある訳だし。」

「…ポ…ポジティブだねっ。」

「うん! あたし、西園寺くんのこと、簡単に諦めたくないの。
本気で好きなの…、分かって欲しい…」


その瞳は、誰かを思い出しかけた…

その、すがるような瞳に、律の心も代わりつつあった…

「俺、三枝のことを好きになるとは限らないよ…
試験的に付き合うからと言って…優しく出来るか、分からない…」

先程とは違い…、少し…優しい声になりつつあった律の言葉に…美結は、笑顔になり…

「うん、いいよ…それでも…」


【優しく出来るか、分からない】…と、言いつつも…

普段から、女性に対して礼儀を欠かさない律が、冷たくあしらうことはない…ということを美結は分かっていた…


「…嬉しいっ! ありがとう…っ」


素直に、喜ぶ…美結のことを、可愛いと思うと同時に、律は複雑だった…


あの、銀色の髪をした女性のことを…心から、離れられない…というのに。。




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