もののけ姫に愛されて。。
律の額に、冷や汗が吹き出る…。。ここに、長く居てはいけない…と、咄嗟に思った…

美結は、辺りを見渡し…

「どこか…、非常ベルとか…ないかな?
あ! 瑠奈ちゃんに連絡して…園の人に…」

と、すぐ様、携帯を取り出した美結…が。。

美結は、アトラクションの外にいるはずの瑠奈に電話を掛けた…


「ダメ…。なんでだろ? 繋がらない…」

次に、LINEを送ってみても…

「ダメ。送れない…。何で…っ?」

泣きだしそうになりながら…言った美結の言葉…


その時…、そこら中にパンパン…と、ラップ音が聴こえ…、酷い耳鳴りも伴った…

「…これ…っ」
《近くに…、何かいる…っ!

霊…がっ!》

律の耳に、どこかで女性の笑い声が聴こえた…

それと、同時に…

凍りつくかのような…視線を、背後から感じた…

すぐ様、振り返り…。。美結の盾になるような体勢になる…


その部屋のずっと奥に、玉座があった…

その玉座の椅子に座っている人物…に、見覚えがあった…

『やっと、来てくれた…』

その女性は、すーっとその数段ある階段を降り、いつの間にか律たちの目の前に来ていた…

「…リア…、お前がやったのか…?」

その、銀色の髪に、金色の瞳…

ボルドー色のドレスを身につけている…



間違いなく…、あの日、図書館で会った女性だった…

「え? 西園寺くん、誰かいるの?」

彼女の姿は、霊感のない美結には見えないようだ…

律は、その女性を睨みつけながら…

「彼女は、関係ない。
リアが憎んでいるのは…俺だけだろ?」

そぅ、冷静さを装いながら…、彼女の感情を昂らせないよう…話し合おうとした…

「西園寺くん、誰かいるの?」

美結には、目の前にいるはずの女性の姿は、見えないようだ…

が。。


「…【関係ない】?
貴方と一緒にいる…それだけで、私にとっては、関係あるわよ?」

目の前の女性は、笑いかけながら…言っている…が、その冷ややかな笑みに、飲まれそうだった…


冷静に…、話をしようとしても…

この、いまの状況は、そうさせてはくれない…

無関係なはずの美結を巻き込んでいる以上、冷静で居られるはずがなかった…

「お前が殺したいのは、俺だろ?
あの時、お前を殺したのは…俺なんだから…!」

急に、声を荒らげ…その女性を睨みつけるように、そう言った律…

が、女性の表情は、変わらない…

『そこまで…、思い出したの…?』

そぅ、律に笑いかける…

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