もののけ姫に愛されて。。
『その女…、似てるわ…。
私から、正室の座を奪った…あの女に…』


そぅ、言われ…律は、自分の背後にいる美結の方を振り返る…

美結は、律が誰かと会話しているのは分かる…が、その相手の姿が見えず…不安気な表情を浮かべている…

「…っえ…?」
《それは…、

どういう意味…だ…?》


すぐ様、視線を戻す…

その女性は、自分の右手を上げていた…

その右手の先…、数十M上の天井にあった硝子のシャンデリアがゆらゆらと揺らめく…


その手を、律たちに向かって…、振りかざそうとしていた…

「…堕ちる…っ!」

「…っきゃーっ!」

律は、美結の身体を抱き寄せていた…


次の瞬間…、けたたましい音とともに…、絨毯の上に倒れ込んだ2人…

そのシャンデリアの硝子が無数の破片となって崩れ落ちていた…

律の頬や身体は、そのシャンデリアの硝子の破片で、無数の傷跡が刻まれていた…

律は、瞬時に抱き寄せていた美結の身体の異変を確認する…

自分が覆いかぶさったからか…、美結の身体には、傷一つ…なく。。

律は、ほっと、胸をなでおろした…

「三枝っ! 大丈夫か?」

その頬に触れ…、首筋に手をやる…脈打つ頸動脈に触れられた…

が、美結は、瞼を閉じたまま…微動だにしない…

「っ三枝っ!」

身体を揺さぶってみても…何も反応はしなかった…

「…まさか…っ」

と、最悪な事態が脳裏を掠めた…

『大丈夫ょ。気を失っただけ…』

その、冷ややかな声に…、その声の方を見上げる…


「何が目的だ? 俺の生命か?」

『……っ』

「それなら、持っていけ!
でも、彼女は関係ない。彼女に何かしようモノなら…容赦しない…っ
お前を、許さない…っ!」

その、律の言葉に…、目の前の女性は一瞬、動揺した

それを、見逃さなかった…

一瞬にして…、哀しそうな表情に変わる…


『…同じことを、言うのね…? 昔と…』

「…【同じこと】…?」

『昔…、ここで…小さな貴方を連れて行こうとした…』


その言葉に、何かを思い出しかけた…



昔、小学生の頃…、家族で、行った…遊園地で…

家族と離れ…迷子になっていた…

あの時、誰かに呼び止められていた…、何処かに連れて行かれそうになっていた…


何かを…、思い出しかけた…


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