もののけ姫に愛されて。。

それを、悟られないように…

「急に、倒れて驚いた。
ムリしすぎたんじゃない？ 大丈夫？」


心底…、自分の心配をしているかのように見える律の言葉や態度に…、美結は頷き返し…

「…ありがとう…。朝、早かったからかな？」

「…ごめんな…っ」
《巻き込んでいる…、

結局…、巻き込んでしまった…

三枝を、巻き込んでしまったのは…自分自身だ…


あの状況を、覚えていない…という言葉に、ホッとした…

卑怯者は、自分なんだ…


でも…、これ以上、三枝を巻き込まない為に…、

彼女に…ウソをつく…》


美結は、すぐ様…首を左右に振りながら…

「お弁当は、あたしが勝手にやってるんだから！
それに、もう大丈夫だし！ ね！」

律は、美結の身体を抱き寄せ…その、耳許に…

「無事で、良かった…」

律の突然…の行動に、動揺を隠せない美結…

「…さ、西園寺くん…！」

美結は、そ…っと、律の背に両手を回す…


律は、空をその目で、睨みつけるかのように…見つめ…

「……」
《…彼女を、傷付けたら…

許さないからな…、リア…》

その声に、応えるかのように…一瞬、風の流れが変わり…2人の周りの空気が涼やかになった…


『いいわよ、あなたの声は聴けたから…。。今はね…』と。。そぅ、云われているような気がした…


身体を離した律は…

「今日は、帰った方がいい。送ってくから…」

そぅ…、美結に伝えたが…彼女は、不満げな表情を浮かべる…

「大丈夫ょ、ホントに！」

「いゃ、でもさ…」
《あんな強い霊に、憑依されて…

普通なら、疲労感がもたない…》


それでも…、彼女の意思は変わらない…

「ムリはしないから！ ね！
せっかくのデートだもの。」

そぅ、いつもと同じように笑顔を向ける…

「そ、分かった。じゃ、気分悪くなったら…言って。
俺、何か…飲み物買ってくるから…」

と、その場から立ち去ろうとする律…

美結は、頷き返し…。。自販機に向かう律の背中を見送る…

「……っ」
《西園寺くん、優しい…


でも、あの時…誰と話していたの…？》

意識が途切れる…直前…

頭の片隅に、律が誰かと話しているのが分かった…

いつにも増して…、厳しい声…。。

「……っ」
《あんな強い口調…、初めて…っ》


美結は、鞄の中から…スマホを取り出す…。。きっと、瑠奈たちが心配しているはず…と、思い出したからだった…

その鞄の中…に、見覚えのないモノがあった…